2026年、6月14日。

横須賀の汐入にて、〈実間〉がオープンした。谷戸の古民家を改装した民泊だ。オープニングイベントにお邪魔してきた。

富士見町の〈Hachis〉から歩いて25分。くもりの日曜日。店を休んで、お祝いを兼ねて、お出かけすることにした。

とちゅう、お祝いに花を買い求めるために、上町の〈Maree Chanter〉に立ち寄った。ここにくるのは、随分とひさしぶりな気がする。

店内には〈Hachis〉とおなじ、ヴィンテージのスピーカーから、音が鳴っていた。形にこだわりがあるアンティークの花器がならぶ。クリエイティブな空間で、いるだけで心地がいい。

予算内で花を選んでもらう。伝えた予算だと二輪だけだったので、三輪いれてください、と伝えた。

上町商店街から〈AMIS〉のある通りを歩いて、〈湘南芽吹高等学院〉のあたりまで行く。タンメン屋さんのそばの階段と坂を登る。いつも行き方を忘れるから、グーグルマップだよりになる。心細く坂を登っていくと、まさに横須賀の谷戸だなというエリアにはいる。急なアップダウン、狭い道筋、たくさんの家々。〈実間〉の場所がわからなくて、〈問室〉に先に行って聞こうと思ったが、元気な若者が二人通りかかって、ここだな、という白い家にたどり着いた。声がする。ここだ。

扉を開けると、ひらけん君がいた。ジャケットを着ていた。彼にも伝えたいことがあったので、ちょうどよかった。ハーブの蒸留をしていて、小さい透明なカップに炭酸で割ったものを渡してくれた。テーブルには草花が並べられて、壁には映像が映っている。お洒落な年輩の方がふたり、カメラを持った若者に話しかけている。あとで聞くと汐入の町内会長とのことだった。

二階に上がる。ベッドがふたつ。二人用がひとつと、一人用がひとつ。木の板のにマットレスがあって、本がいくつか置いてある。マルコス・ヴァ―リのジャケを見て、自分がつくってみたいと頭に思い描いていたベッドだった。

小さな女の子がふたりいて、話しかけられた。二人のうち一人が、ゲームをしよう、と誘ってくれた。カメラのようなおもちゃをポケットにとりだし、二人用のベッドに腰掛けた。カメラのようなおもちゃなのだが、写真も撮れて、いくつかのミニゲームもできる。ファミコンのようなドットで、ヘビを操作しながら餌をゲットし、壁にぶつかったらゲームオーバーというものだった。やすきが小学生のころは、このような端末にはテトリスだけだったのだが、おもちゃも進化したものだ。

女の子はゲームについての説明を丁寧にしてくれる。やすきはちょっと疲れて立ち上がると、今度はぬいぐるみで遊ぼうと提案してきた。ポップな、ジンベイザメの人形だということだった。この女の子は何歳だろうか。小学生に入りたての頃だろうが、やすきはこのころにジンベイザメを認識していなかった。ジンベイザメの知識を得ている、ということにやすきは驚きを禁じえなかった。後で調べたが、ジンベイザメはおとなしく、プランクトンを食べながら生きているということらしい。見た目も愛らしかった。知らなかった。ポップなジンベイザメの人形を窓に擦り付けたりしていた。やすきは人形に愛着を持つために「ジンちゃん」と名付けるのはどうか、と促したがスルーされた。

二階に、やすきより背の高い人がいた。珍しいので話しかけた。すると、展示をしているアーティストの方だった。青い板があって、よく見ると建物の写真が映っている。こういう作品が建物の一部に組み込まれているということは、価値があることだ。

この先の未来に

〈問室〉へ移動する。さきほどの女の子がついていきて、手をつないであるいた。〈問室〉に到着すると、忙しそうjかなさんがいた。花を手渡した。

女の子がふたりと、もうひとり男の子がいて、「山座りしよう」と、みんなで座った。どうやらやすきが体育座りと呼んでいた姿勢が山座りらしい。急に内省にこもるな、と思った矢先に女の子が突然、だんご三兄弟を歌いだした。やすきもテンションがあがっていっしょに歌う。

先ほどの年配の方は、汐入の町内会長で、横須賀の様子など、お話をうかがった。移住者だけでなく、地元の人がここに来ている、というだけで地元に根を張っていることがわかる。

訪れていた女性のひとりと話す。佐野町に〈うぐいす邸〉という施設をオープンするそうだ。古民家を改装した施設がまた増えている。こうやって、横須賀にレイヤーがまたひとつ厚さが増していく。

いつかの未来、こどもたちが、本を読めるようになったとき。背伸びをして、〈問室〉の本棚に手を伸ばすこともあるのだろうか。

横須賀の古民家、自然の素晴らしさを伝えていって、どう広がっていくのだろう。

〈実間〉に泊まった人は、横須賀の谷戸でなにかを受け取って、それぞれの生活の場へ、もどっていく。手紙を渡す、という行為にちかいのかもしれない。