鎌倉への旅⑥ 横浜篇 昼過ぎまで、江ノ島にいた。岩場にたたずんで、もういいか、と立ち上がった。江ノ電にもどって、藤沢の街並を歩いた。鵠沼だったか、藤沢駅周辺だったか。そこまでは覚えていない。あぁ、ここがダイナリデルタフォースが育った土地かぁ、と線路沿いの住宅街をを歩いた。駐輪場があった。感覚が鎌倉と違ったことは覚えている。 藤沢から、横浜へ向かう。どの線を使って、どの辺にいたのか。なぜか、このあたりはよく覚えていない。 気がついたらみなとみらいに着いていた。辺りはとっぷりと暗くなっている。赤煉瓦倉庫のような、海辺の街だった。街の明かりに照らされる、橋をあるいていた。どちらにどう進めばなにがあるのかさえわからず進んで、中華街に着いた。 かつて、住んだ神戸にも中華街はあった。しかし、横浜の中華街は規模が大きい。絢爛豪華なお店が大通りにひしめき合っている。神戸の中華街は夜には静かになるが、横浜の中華街は夜になっても賑やかしい。 このときは、ラーメンが食べたいと、店を探していた。すると、小柄な黒人女性が日本語で話しかけてきて、「素敵なお店があるので、きてください」と誘われた。やすきは、ネットで調べたラーメン屋に行きたくて、ラーメン屋にいってからそのお店に行く、と約束した。今思うと、そのまま直接行けばよかった。執着はよくない。 ラーメンを食べたが、特段に感動はなかった。誘われたお店に入る。なんと、バーを併設したゲストハウスだった。泊まりたいです、とお願いしたが今夜は一杯で断られた。バーで飲むことにした。自由で、野性味があって、いい雰囲気だった。さきほどの黒人女性もいた。 横浜に住んでいる絵描きの人と同席して、飲みながら話した。マスターもいい雰囲気の人だった。黒人女性が背中にタトゥーを入れている、という話になった。私に必要なものを入れてます、と話してくれた。見せてくれた。「勇気」と漢字で書いてあった。 その宿には泊まれなかったので、漫画喫茶に泊まったが、これがよくなかった。やすきのバイブスに合ってなくて、この旅で唯一しんどい場面だった。 結局、レコード屋は見つからかった。 横須賀に移住してから、アルバイトでよく金沢区にいくとか、天王町のBARによくお世話になっていたので、横浜とやっと縁ができた。三崎に移住した初日。新宿から自転車で三崎まで向かった。東京~川崎~三浦半島のグラデーションの中で、横浜は気持ちいい場所と感じた。自転車で日ノ出町にはじめて降り立ったとき、風がとても気持ちよく感じた。都会だが、窮屈な部分はなくて、ゆとりがある。神戸が好きな人は横浜も好きだろう。 津山に帰ると、台風一過で、空気が澄んでいた。田町で行われたイベントに参加してきた。当時はインスタグラムのストーリーもなかったし、旅の報告は口で伝えた。 鎌倉にあったものは、鎌倉だけにあるわけではなかった。旅は、新しい土地を知るだけではない。自分がいた場所を、もう一度見つめ直すことでもある。 むすびつくこと 〈りんでん〉の特上アジ刺定食 鎌倉への旅⑤ 二度目の江ノ島篇 〈前門飯店〉の餃子 〈KotodamA〉りょーちんインタビュー後編 HOME