湘南移住記 第231話 『天王星と木星の合』

天王星と木星の合が19日からはじまる。革命の星、天王星と幸運や拡大を表す木星が重なるということは、ホロスコープ的に、大きなエネルギーの衝動が起こるということを意味する。周期的には約14年振り。

今週は、過去に思考を巡らせる水星逆行の時期でもある。この14年間、やすきがなにをしてきたか。なにができるようになって、なにをしなくなったか。これからどこに向かうのか。なにを改めるべきか。振り替えっていきたい。

14年前

14年前、やすきは24歳だった。一浪を経て大学を卒業。卒業後1年はアルバイトをしながら生活していた。学校を卒業したものの、人生の中で何も見出せず、これからどうするか、暗中模索の日々だった。

やすき家は男子たるもの4年生大学の経済科を出るべし、という今思えば謎の思想に囚われていて、やすきも従っていた。

家族の考えに疑問を持たず、従っていたから、自分の考え方が育っていなかった。

田舎の商家の古い価値観を、狭い世界の信仰の中にいるとやすきは知る由もなかった。世間の海は広い。

入学と共に神戸に行き、ビートメイクとラップを始めた。たのしかった。自分の意思だったから。

ヒップホップに身を投じていく中で、価値観も変わっていった。いっしょにクラブで遊んでいた友達が捕まったことがあるとか、捕まった、といったことも茶飯事だった。ストリートで起こる事件は、狭い信仰に生きてきたやすきにとって薬となった。いままで信じていた常識と違う。

もらった薬を元に、なぜ狭い価値観を打ち破らなかったのだろう。今はそう思う。学歴はまったく通じない世界だったし、起こったトラブル、有象無象も、たのしいことも、十分に考えさせられるきっかけだったはずだ。

目にしたこと、耳にしたことをひとつひとつ丁寧にほどいていけば、解ができ、小さな悩みを消化できた。

いまもそうかもしれない。反省、自省の時間が足りないのか改めて、内を顧みなければいけない。また、関わっている人に想いを巡らし、学びを得れば、人の気持ちも理解できる。そう、読書から自らの血を創るように。

自分の軸で生きるように

hatis AOを運営していて、さまざまな人間関係を見る。アルバイトでもそう。やすきの生活行動自体がhatis AOとも呼べるようになってきた。

人との関わり合いの中で、コトが動いていき、変化を続け、進展していく。

24歳のやすきは、神戸でアルバイトをしていたうどん屋をクビになり、自信をなくし、津山に戻ることにした。

それも小さい失敗でくよくよするなよ、と言いたくなる。いや、人生の中での数多くの失敗から、立ち上がることの価値を学んだ。

そのころのやすきはなにもできなかった。動揺していて、自信がまったくなかった。不思議なほど手順を覚えれなくなったし、なにも判断できなかった。

年始のコーヒーフェスでもそのような状態に陥ったので、気持ちが追い詰められていたのだろう。

なぜ追い詰められていたのか?両親からの視線。お父さんとお母さんからの評価しか自分を保てなかったのか、ずいぶんと甘えていたなあ。

お父さんも亡くなってしまった。余程のことがない限り、両親は先に逝ってしまう。

24歳の時点で、自分の方向を自分で決めるべきだった。経済的な面もそうだが、気持ちの話だ。決意というか。

両親も死ぬということは、自分も死ぬ。一日一日を大切にできるか。今日という日を、抱きしめれるか。

14年間で決定的に変わったことは、自分で仕事をで創るようになったことだ。このまま店だけで生活できるようになれば、社会で立ち位置を持てたということになる。

周りにどう見られるようが、自分軸を持てば、やりたいことで生活できる。ネットがある現代では、昔より容易になったのではないだろうか。江戸時代にやすきのような生き方をしても、できなかっただろう。幕府、公の強制力が今よりもはるかに強かっただろうから。

今は個の時代になった。ひとりひとりの顔が違うように、考えや生き方がちがって当然。それを咎めることがないように、各々の哲学を育てていけば、みんな仲良くなれる。