湘南移住記 第215話『週6ランチ営業の展望』

横浜へ行く。

あいかわらず派遣の定期的な仕事をさがしていて、不思議なほど決まらない。ひとつ、採用がすすんでいるものがある。

今日は2件、お仕事の登録にいった。一つ目の会社は関内にあった。関内は雰囲気が神戸に似ている。馬車道の辺りは古い石造りのような建物がいくつか並んでいて、元町の風景を思い起こさせた。

神戸は海と山の距離が近く、土地が狭いので、建物の背が高い。横浜は街として大きいが、広くもあるので、凝縮されてない。空間に余裕がある。東京のようにしんどくならない。

手違いがあって登録できなかったが、派遣会社にいた女性の方に店のことを宣伝した。今年に入ってからは単発の仕事をしてあちこちに行ったが、もはや宣伝がメインの目的になってきた。

女性はバイブスがよく、話に乗ってくれた。「派遣なんかしてる場合じゃないよ」と言ってくれた。

たしかにそやねん

その言葉にハッとした。決まらない派遣の採用に反比例して、客足はありがたいことに増えていっている。2月の後半のペースがつづけば、土日の売上だけで店と生活コストが支払えるくらいにはなる。

しかも、ランチでだけだ。

というより、ディナーが弱くなったのだが。だけど、流れをつかめれば、お客さんはまた来てくれる。スパイスカレーに合うIPAビールも検討中。

メモ帳の売上を見てみると、2月は売上のほとんどがランチだった。全日よかったわけではないが、店を開けばだれかしらがきてくれる状況にはなった。

TwitterやInstagramで影響力の強いお客さんも足を運んでいただいて、リツイートなどで波及し始めている。

〈hatis AO〉でも似たような時期があった。店の改装をして、地道にやっていると、インフルエンサーの人たちが広めてくれて、来客数が伸び出す。

スパイスカレーも、前の店から数えると、つくりはじめて3年目に突入した。ひとつのスタイルが見えてきた。珈琲も、すこし落ち着いて、方向性は見えてきている。

昨日、急遽、仕事の穴ができたのではじめて祝日にオープンした。お客さんはぽつぽつだったが、常連さんが何人かきてくれて、〈hatis AO〉を支えてくださってることに改めて気づいた。津山の〈hatis 360°〉のときよりも苦労したせいか、人に対する感謝が増した。

早乙女ボブさんという、新規のお客さんも来て頂いた。街並の写真を撮られている方で、Twitterで何度かやりとりをしていた。

話をお聞きすると、元は詩を書いていたらしい。アートのことにも詳しいようだった。

ボブさんは横須賀に惹かれている。お話を聞いていて、その気持ちがよくわかった。藪木さんが来たときに、富士見町が津山の路地裏に似ている、と教えてもらって、横須賀が落ち着く理由がわかった。故郷に対する既視感に共感できた。

挑戦

横浜の新田間川の辺りを歩きながら、これからを考えた。ふたつめの会社は、横須賀の案件だったが、募集が多いようだった。

空を覆う曇天を突っ切りながら、横浜駅まで歩く。人がひっきりなしに行き交っている。

ランチのみで売上があるのであれば、夜に働いて週6でランチ営業すればいいのではないか。そんな考えがよぎった。

今、それをすると厳しいのだが、どちらにしろ店は一本化するし、それなら早いうちに平日の流れをつかんでおきたい。

進んでいる案件次第だが、その方向にチャレンジすることにした。ウーバーや物販をはじめ、週の1日だけ夜営業をいれて、お酒を売ればラクになれる。

このところ改装をやっていなかったが、それも進めなければいけない。

なにより、人に恵まれつづけているので、その信頼が大きい。京急の下り線で、考えの糸を紡ぎつづけた。賭けでもあるが、やってできないことはない。

汐入で降りて、追加の買い出しをして、土日の営業の準備をする。決めた。また新しい挑戦だ。