湘南移住記 第170話 『忘却』

水曜日。前日から便に血が混じっていて、今朝、突然の腹痛。尿管結石の痛みに近かった。下痢もある。痛みが強く、駅にも向かうことができなかったので、仕事を休ませてもらった。ここ何日か忙しいので、申し訳ない気持ちになる。

体調は優れず、横になっていたら、15:00あたりに血尿が出た。もしかすると、溜まっていた石がやっと出たのかもしれない。

ご飯は食べれたので、昼食をとる。残っていたフェンネル、じゃがいも、うどのかき揚げをつくる。玄米があったのでご飯にしたが、うどんでもよかったかな。

夜。リビング横須賀に軽く買い物。お豆腐、葉生姜、油菜、里芋を買う。すべて神奈川県産。

昆布で出汁をとって、里芋、油菜で味噌汁をつくっている。一人暮らしで味噌汁をつくる習慣はなかったが、1,2日はもつので、たっぷり作っておく。おかず作るのがめんどくさい時には玄米と味噌汁だけにしておく。

自転車を押しながら、こんなにもしんどかったのか、というくらい体が重いことに気がつく。

ヘタをすると、月1で体調を崩している。神戸で働いている時も、年1で体調を崩していたが、こんなにも体が弱くなっているとは思わなかった。そんなにもハードに働いているわけでもないのに。

早く商売を始めて、自分のペースで働けるようにしないと。

昨日、ビジネスで世話になっているYさんと、20代のTさんとで仕事帰りに〈minato Coffee〉に寄った。たまたまだが、〈No.13〉の野口さんが美味しいと言っていた吉祥寺の〈Light Up Coffee〉のブルンジが置いてあったので、頼んでみた。

津山の〈アンジェ〉の二代目の方も、〈Light Up Coffee〉出身だ。〈アンジェ〉に行けば津山でも東京の珈琲が飲むことができる。

私がの頼んだブルンジは浅煎りで、みかんのような香り。酸味を消していて、優しい味。酸味を消す焙煎というのは相当な技術だ。私の知る限り、神戸の〈泰山寺珈琲〉も同様の技術を持っている。

Yさんに感想を求めると、「飲みやすくて多くの人に受けいられる」と答えてくれた。これが私にとっては意外だった。

東京の浅煎り珈琲は鮮烈で、どちらかというとマニアックなイメージだった。だが確かに言われてみると飲みやすい。

もしかして、私は先入観に囚われすぎていたのではないか。

忘却

Yさんと分かれて、Tさんとご飯を食べに行った。Tさんが誘ってくれたのだった。

Tさんはある日席が隣同士で知り合ったのだが、不思議な印象だった。まず、私が今ハマっている武道の達人系YouTubeの話が通じた。Tさんはジークンドーの石井東吾先生を知っていた。

印象的だったのは、初めからやたら目が合うことだった。私は人と目を合わすことが苦手。長く過ごした友達であっても、なかなか目を合わすことができない。

だが不思議とTさんとは吸い込まれるように目があった。

この日はTさんの価値観の構築についての話を聞いた。Tさんは高校生の時、毎日喫茶店で友達と価値観について話し合ったらしい。

その時にした作業が、いままで一度見聞きしたことを忘れることだった。例えばスマホにしても、データばかり入っていると動作が重くなり、新しいアプリがインストールできなくなる。

機械でもそうなので、人間の脳こそ況や。

この話がとても胸に残った。私もこれから新しい挑戦が始まるし、一度不要なメモリをすべて忘れることにした。

嫌な出来事、もうあまり関わり合いのない人物。過去を振り返った時、検討にものぼらないような出来事は忘れる。思い出さなくてもいい。

珈琲も変な先入観を持つより、新しい気持ちで取組む。

不要な過去を忘れたほうが、新鮮なきもちでいれるし、現在を大切にできる。