湘南移住記 第六話 「鳥取、岡山のニューウェイブ」

hatisを開いてからも、岡山や鳥取のカフェに勉強で巡った。Instagramで紹介も兼ねて投稿をする。いいと思った場所にはみんな行ってもらいたいと考えたからだ。奇しくもコロナ禍前は大Instagram時代。みんないかにまだ知られてない場所に先んじて行くようになっていた。コロナ前はいかに「私はこの人たちといますよ!どうです?楽しそうでしょう」と交友関係を自慢する時代だった。コロナになると、大人数で集まることを大っぴらにできなくなり、交友関係自慢は少なくなっていく。津山はそういうのが得意な土地柄なので、よくストーリーでも見かけていた。決まって非オープンのアカウントだった。私はいかに発信するかでInstagramを使っていたので、なぜ非オープンにするかがちょっとよくわからなかったが、使い方は人それぞれだ。今は、群衆が得意な人たちにとっては生きづらい時代になったであろう。

好奇心が打ち勝つ時代

その内、好奇心がよりフォーカスされる時代になった。ただのお客さんでも、店のチョイスや写真の撮り方など、その人のセンスで何かしてるわけでもないがおしゃれなカフェに行くだけでも注目されるようになる。表現者と受けて側の立場がイーブンになったと言える。思えば今までは作り手や有名人が優遇されすぎていて、崇拝されすぎていたようの思える。今は逆にテレビで活躍している人が不倫などすると叩かれ引きづり下される。責めまくってストレス解消の対象になっている。ヒップホップの世界でも、Instagramのストーリーでビーフ(いざこざ)が露わになり、リスナーが勝手にYouTubeでまとめて話が余計ややこしくなるとか。確かにヒップホップは参加型の音楽だが、このやり方はどうだろうか。

Instagramでも、hatisだけではなくいいと思ったお店を紹介していた。巡ったお店の内、岡山、鳥取、兵庫エリアで良かったカフェを紹介します。

井村珈琲店

このお店は鳥取・智頭の名店、山ノブランさんに行った際、置いてあった雑誌で発見。井原市の山奥の郵便局を時間をかけ改装した珈琲店です。インタビューを読んで、この郵便局を借りるのに家主さんに説得が大変だったとか、ストーリーを予め知ってから入店に臨む。「この場所でお店をやる運命だったんだろうな」と話していて、それは行かねばなるまいと即結だった。自分の目的を見つけて生きている人だから。

店内は撮影不可。薄暗いが、よいヴィンテージ感のある内装。元郵便局だから当たり前か。お店になるまで何年もかけたそうで、お店の端々からご主人の情熱が感じられる。お客さんにくつろいでもらいたいという想いが強く感じ取られた。たしか自家焙煎。六珈さんに近い、正拳突きに近い解釈。ただなんというか、15°だけの微妙なクセみたいなのがオリジナリティ。メニューだけ見ると、農園指定ではなさそうだが、この個性が心地よかったです。深めな印象だった。白い本棚が素敵。ゆっくり本を読みに行きたい。雑誌のtransitがたくさんあったので、おそらく外国旅行が好きなのだろう。

最後、ちょっと話してみたくて、お会計の時に井村市でいい店は知りませんかとご主人に尋ねてたら、雑誌からいい店を探し出そうと一生懸命対応してくれた。その対応にご主人の人間性がとても現れていた。こちらは実は話したいだけで、いい店は知らなくてもよかったのに。誠実に生きている人のお店です。山奥ですが行く価値はあります。

大西珈琲店

岡山市表町の有名店ですが。ここはやられました。手書きのメニューがフランスぽいおしゃれ。珈琲がひとつの作品みたいだった。焙煎具合が違うエチオピアを二種ミックス(ブレンドじゃなくミックス!)がすごかった。フランス語の曲名みたいなイメージ。

miepump coffee

倉吉にある海際の元保育園を改装したカフェ。なんというか、時間の流れ方が貴重。カフェオレがコクがありすぎて衝撃的でした。