湘南移住記 第164話 『ラグナ蠍座』

占星術はギリシャでうまれたもの、インドでうまれたものに分かれる。根は同じで、解釈が違う。例えばギリシャで生まれた西洋占星術では、私は水瓶座だが、インドでは蠍座になる。

西洋占星術だと水瓶座と蠍座の性質は似ても似つかない。感情を排し、革新的な発想をする水瓶座と、死や性を司る蠍座。同じ不動宮といえど、持っている役割が異なる。

ところが、インド占星術でいうラグナ蠍座の解説を見ると、自分に当てはまることに驚いた。見方は違っても、結局その人のことを語っている。

忍耐の2年

インド占星術での私の運勢は、4月6日をもって2年間続いた忍耐の時期が終わったということだった。2年前の今頃は、コロナの第1波の時期。hatisをやっていて、津山には影響は出ないだろうと高を括っていたものの、まったく街に人が出なくなった。あの時期は未知の恐怖感に包まれていた。

週末に働いていたBar Zackも休止。元女将と同棲を始めて、お金に困っていた。

思い返すと、『お金』にまつわる問題がつきまとっていた2年てもあった。コロナに始まり、同棲、遺産相続、移住、猫の手術費。

ひとつずつ、ゆっくりクリアした。派遣で働き、支出を抑え、地道に貯めていく。店自体も徐々に売上は増え始めていたので、もしあのまま続けていたら今頃はもっとよくなっていたのかもしれない。

ただ、猫の手術だけは、先にやっておけば良かった。命が第一に優先することだった。

もう一つの学びは、感情に振り回されない事。かつてない感情の起伏から教わったことだ。

横須賀の店も時間はかかったが、もう開くところまで来ている。自室までできて、自分の住環境の工夫もでき始めたところ。

私は努力が苦手だった。言い換えると、コツコツ積み上げることの大切さがよくわかっていなかった。

だけど、高校の頃は漫画家になろうと毎日絵を描いていたし、音楽も地味にやり続けた。

今回の件で学んだことは、たとえ亀のような歩みでも、1日1日着実に進めば、嫌でも目標に辿り着くということ。

『お金』も同じこと。友達と飲みに行くとか、贅沢を控え、支出と収入のバランスを取れば口座の額も増える。

仕事もテーマに含まれていた。店を始める前とでは仕事で見えるものが変わっていた。以前は自分の業務の範囲しか見えていなかったが、全体のつながりを捉える事ができるようになった。職場の売上と人件費の関係、この人とこの人の立ち位置の違いとか。

すべての仕事がうまくできたわけではないが、おもしろかった。結局、どの経験をしても自分の本業に落とし込むことができたから。

確固とした軸ができると、人間が変わる。肌感で実感した。

出会いの数々も、私を変えてくれた。短期派遣は、コロナ情勢の厳しさを教えてくれた。私のように本業を持っている人も多く、そのほとんどが仕事がなくなった人。長年やった会社を畳んだ人もいた。

よりよき道に

移住の選択に、後悔もあった。

だけどこの選択だからこそ出会った人、学んだこと。時間を巻き戻すことはできないので、いま進んでいるこの道をよくしていく。

この2年間はきつかった。幸せな日々もあった。

これからも坂道だろうが、楽しんでいこう。

4月5日。運の変わり目の日。いつものように富士見町の住宅街から出勤する途中、これから大きく変わるだろうなという予感があった。ようやく次のステージに進む事ができる。

みなさんはどうでしょうか。社会と共に状況が変化した1人もいらっしゃるでしょう。私の経験から何か感じるものがあれば幸いです。この時代の変化を周りの人と話し合ってみてください。それが大きい変化になる。