湘南移住記 第139話 「レッドスパイダー」

横浜での仕事が開始。3日間の研修を終え、くたくたになった。

今日は休みになった。奇門遁甲の方位取りと気分転換を兼ね、あいかわらずサドルのない自転車で久里浜へ出かけた。

富士見町から衣笠を経るルートを選んだが、三春町のトンネルを抜けるルートの方が近いかった。

どのみち久里浜までは近い。海も見えて、手軽な旅行と探索になる。

久里浜へ

まだ寒さは残るが、気持ちのいい晴れ。横須賀は自転車を走らせるととても気持ちいい。久里浜は工場地帯で、平作川という二級河川が一本通っている。川の傍は風の通りがよく、突き抜けるような爽やかさがあった。湘南の海際を走るのとは、また違った快さだった。

平作川の風景

途中、〈ワカフジベーカリー〉というパン屋に寄った。ポテチパンが有名で、テレビ番組に取り上げられ芸人のEXITも訪れたそうだ。ポテチパンは三春町の〈中井パン店〉がオリジンだと思っていたが、どっちなのだろう。ポテパンくんというキャラクターに、ポケモンのラッキーを見た時に似た安堵感を感じた。どっちが先かなんてどうでもよくなった。

気弱そうだがやさしさが伝わる佇み

ズンズンチャンネル

さいきん、家で作業をしながら見ているYouTubeが2つある。一つはレッドスパイダーのズンズンチャンネル、一つはプロゲーマーのウメハラの切り抜き。

なぜかこの2人の動画を見てしまう。なぜたろうと考えると、2人ともレゲエとe-sports、なにもないところから作り上げた人たちだからだ。私も何の縁もない横須賀でカフェを立ち上げようとしていて、お2人の言葉が身に沁みるのだと思う。

レッドスパイダーのジュニアさんは大阪のセレクターで、94年から活動を始めている。ジャマイカへの渡航歴もあり、非常に長い期間、レゲエシーンのトップを走り続けている。

興味深かったのは、「どうしたらレゲエのセレクターになれますか?」という質問に、「自分でイベント打ったらええねん」と答えていたことだ。

自分もラッパーとして活動していた時、最初はノルマをかぶってイベントに出させてもらっていた。そこから学んだいったのだが、それより、なにもわからなくても、自分でやっていったほうが早いという。やってみて、ダメなとこは言われて修正しろ。恥をかけ。俺なんか未だに恥かいてんで、との言葉。やることやってきた人の自信の根拠と謙虚さがあった。

すごいなと思うのは、ゲストが来た時の話の聞き方。同じく道を切り拓いてきたアーティストの話を聞く時の、考えを理解しようとする貪欲さが見て取れる。

平作川は、多くの人の行き交いを見てきたのだろう。先人から学ぶことはたくさんある。