湘南移住記 第238話 『軸』

四日ほど前、Universal Radioのhiklyくんに何がしたいのか見えないと言われた。

それは、hatis AOの月曜日の営業の日だった。たまたま、スミーさんもそこに居合わせていた。暑くもなければ、涼しくもないような、ニュートラルな気候の日で、風が凪いでいた。

前日の日曜日、お客さんはあまり入っていなかった。どの時期でも、日曜日は割と集客があって、最後の牙城でもあった。

ところが、6月に入ってから、4、5月の売上の水準を大きく下回っている。忙しいほど入るでもないが、一人で回せれる範囲で、お客さんが入ってくれて、バイトもほとんど入らなくてもいいとこまで来ていた。このままぼちぼちやっていけるかな、と見通しが立った思いだったが、6月の失速。原因はわからない。

ネクストレベルの丘で会おう

hiklyくんに言われたことは、内心を硝子で突き刺すようにチクリと思い当たっていた。ここ何週間か、他人の評価に晒されて、心が揺らぐことがあった。

今に始まったことではない。いままでも散々言われてきたし、同時にアドヴァイスもありがたく頂いてきた。

たとえば、A、B、Cという三人という人がいたとして、それぞれの価値観でやすきにこうした方がいい、と言って来たとする。それぞれに価値観が違い、フィルターも異なる。なので、AさんとCさんがいうことは矛盾している。AさんとBさんということも同時に叶えることができない。空調ひとつとっても、必要な人とそうでない人もいる。言われた内容の中には、お金も時間もかかる場合がある。

やすきとhatisに九割五部以上の人が、良識を以って接してくれているので、上記の場合のようなことは少ない。地元の津山の方がひどかった。土地柄、人柄ということがある。

体調を崩して、それでも地道に続けて、光明がさした矢先、再び売り上げが落ちて変えなければいけない状況になった。どうすればhatis AOが一本化ができるか。この状況からすすめるのか。考えていた。考えていたがまとまらなくて、hickyくんに言われたことは、核心をつくようであった。

店のために、やすきがやすきをほったらかしにしていて、自分を見失っているのではないか。別日に、ゆうきくんにも「やすきさんは自分がないですよね」ということを言われた。

やりたいことをやっているのだが、こうありたいという自分からはかけ離れている。そういうことを、ズバッと2人は言ってくれたのだと思う。基本、しんどいのを我慢しながらやってきたのだが、そろそろバイトをしながら店をやっていくのも限界を感じ始めている。

一方、「次のフェーズに入ったんすよ」とも、hickyくんは言ってくれた。横須賀と、周囲に基盤ができて、さらにここから横須賀の他の地域やグループとつながり、拡大を続けていく。

もはや自分だけのことではなくなった。スミーさんも横須賀で紅茶の店を始めることに決めたし、しんじさんも横須賀に来るだろう。もりあいくんも〈Rasta〉という古着屋を開こうとしている。〈Magyoko〉もウーバーを初めて、次の展開に行こうとしている。みんな、人生の分岐点に差し掛かって、動き始めた。

やすきももう一度、自分の軸を定め、作り直すことにした。それができれば、つぎに進める。言いたくないことも言わなければならなくなった。お互いのため、全体のため。

なので、みなさん。これからもよろしくお願いします。人生を進展させましょう。