Universal Radioのものがたり

Universal Radioは、ラッパーのhicly、つるよし、houseclash、DJのモリアイから成るヒップホップグループ。

横浜や横須賀を中心に活動する。繊細で叙情的な音楽に、根強いファンが魅了されてている。様々な変遷を経て、現在、活動しているのは横須賀市在住のhiclyともりあいのみ。

6/16(日)に関内はBaysisで「Puka Puka Night」というイベントを主催するが、ひさびさにオリジナルメンバーが勢揃いする。そこで、中心メンバーのhiclyにXのスペース上でインタビューを敢行した。彼の幼少期からのストーリーを軸に、どうやってUniversal Radioが結成され、明日のライブに至ったのか、ここに書き記す。

まわりと馴染めずに

hiclyは横浜の外れで育った。サイプレス上野の地元である戸塚よりさらに遠い場所、鎌倉の近く。

富裕層ではないが、大企業に勤めるサラリーマンが住んでいるような、裕福なエリアだった。いわゆるストリートであったり、街の影の部分を見てきたわけではない。その代わり、表面的な、建前ばかりの関係が纏わりついていたという。

そのような環境に馴染めず、「自分には合わないな」と小学校の低学年から感覚としてあった。それを我慢することが大人への道だと思い込んで、心が壊れていくという少年時代だった。

周囲が言っていることに合わせて、波風を立てずに学校で過ごしていきた。

ただ、変なことをやるのは好きだった。思春期に憧れるような悪目立ちではなく、影でふざけたことをやっていた。授業中、クラスメイトの鼻にワサビを詰めたりだとか、自分たちで完結することをやっていた。

野球が好きで、野球部に入っていた。投手だった。振り返ると、野球そのものよりもパワプロが好きだった。野球から仲間の大切さを学ぶ。他人から言われて、自分の感覚から外れたことや、監督からの評価を取り入れすぎると、自分から崩れる。そこから、言われたことから自分の体に馴染むことを取捨選択することも覚えた。その過程で新しいことを身につけていく。

出会い

高校の時、hiclyが属していたクラスで、生徒から先生へのいじめが起こっていた。波風を立たさずに生きてきたhiclyはそれを見て見ぬ振りをしていた。だが、嫌だとも思っていた。ある時、いじめがエスカレートした日があった。その時、机を強くひっくり返して教室を出て行った人物がいた。それが後にメンバーとなるDJのもりあいである。

hiclyはもりあいの後を追いかけた。昇降口で捕まえて、その時に初めて話し合った。

その後、大学受験を経て、横浜駅で二人は再会した。

hiclyは、中学の頃から、ガレージバンドというソフトウェアを使って音楽は作っていた。また、Youtubeの黎明期でもあり、動画を作成してアップロードしていた。もりあいとカブトムシを乱獲したり、心霊配信を始めていた。心霊スポットでもりあいがギターを弾きながら、hiclyはフリースタイル(即興のラップ)をしていた。みんなでできることを探していた。

その中で、仲間たちと会社を立ち上げることが目標になった。そこで、横浜に住んでいた彼らは一緒に住むことになり、横須賀の汐入で一軒家を借りて、みんなで住むことになった。

イベントの合同会社を立ち上げるために、申込をしようとしたのだが、ハンコがひとつ足りなかったのでできなかった。そこで、コロナが流行し、できなかった。同居しているメンバーでアルバイトに精を出す。

コロナによって行動が抑圧され、悶々とした日々。hiclyは「いつ死ぬかもわからない。今やりたいことをやろう。」思い切ってパソコンを買って、音楽制作をできる環境を整えた。その頃にできた曲が、『半永久日』という曲だった。

そこから一人で曲を作り続けた。すると、汐入に同居していたつるよしとhouseclashがお笑いをやりたいと言い出す。バズのことを求めていたhiclyは、ある企画に二人を誘った。曲を共に作ることになり、気がつくと五曲できた。

曲はできたものの、音楽関係のツテはない。たまたま衣笠にご飯を食べに行って、ライブハウス〈cool cool〉と縁ができて、いきなりワンマンライブを開催することになる。5曲しかなかったので、ワンマンライブが決定してから『衝動』というEPをリリースする。

そこから、音楽を職業にするという意識が強くなった。250人を呼ぶことを目標に活動をしていた。だが、250人を1組だけで呼ぶことはやぶさかではない。動画を出しつつも、その動画が炎上する事態にもなった。解散をかけたライブイベントも、目標の250人の集客には達しなかったが、活動を続けることになった。

メンバーのつるよしとhouseclashは脱退することになった。そして、hiclyともりあいの1MC1DJのグループになった。二人とも横浜へ出ていたが、再び横須賀へ移住し、新しい形を模索している。

ここまでがUnivesal Radioの物語だ。大軸だけだが、ここまで様々な感情の紆余曲折があった。そして、明日。オリジナルメンバーが再集結する。これ以降、また集まるかもしれないし、集まらないかもしれない。どちらにしろ、ディケイドとなる。

みなさん、ひとつの区切りを見に来てください。

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6/16(日)
PUKAPUKA NIGHT 4

開場18:00/開演18:45
前売2500円(D代別)
配信2000円

【Live】

Universal Radio
SPST
Catnap baby

【DJ】

8号