湘南移住記 第210話 『冬の星に』

昨日で平成町の短期派遣が終了した。明日から川崎で新しい仕事が始まる。こちらも1月末までの短期。

月曜日に追浜で長期派遣の面談がある。2月から動けますと伝えると、採用が厳しいと言う反応だったが、登録だけしようということになった。タイミングがなかなか合わない。履歴書を書かなければいけないのがめんどい。

今回は派遣先がいい会社で楽しかった。前回と前々回と行政が絡んだ仕事で、曖昧な部分が多かった。今回の民間の会社は、利益のために行動する、納期までこれを仕上げるという基準なので働きやすかった。わかりやすい。

前回サボらせてもらった分、今回は頑張った(ごめんネ、前回のみんな!)。

日々に追われ

ただ、店は土日営業を始めたので、仕事と店の兼ね合いに苦労した。結局、水曜日から動き始めなければ間に合わない。週5,6営業するのとそう変わらない。

この2ヶ月は土日にオープンすることのみ追われていた。他にしなければいけないことも後回しになっていた。

仕事が終わって、床に着くまでの4〜5時間をどう効率的に使うか。疲れが溜まってそのまま寝てしまう日もあった。30分でいいから内装作業をするとか、やることをやれるか。毎日が自分との闘いだった。

時間がなく、よく会っていたメンバーとも、さいきんは会えないでいる。みんな元気かなあ。

平成町からの帰り道。赤いガレージがある家の前で、ふと寂しさを感じたことがある。空には冬の星座が輝いていて、澄んだ寒空が広がっていた。あの星とあの星は近いように見えるが、二つの星の間には人が一生かかっても辿り着けない距離が存在する。

Instagramだと自分の情報が広まらないので、SNSの主軸をTwitterに移した。日々の様子をこと細やかにアップしていると、〈No.13〉の野口さんに「さいきん頑張ってますね」とコメントを頂いた。

尊敬する人から褒められるのは嬉しかった。だが、ここまで自分を追い込まないといけないゾーンがある、ということもわかった。野口さんは家族もあり、平日は東京で、土日に店を8時間オープンしている。しかも珈琲の質を保ち続けている。すごいことだ。

地道にTwitterをしていると、効果を感じることがある。先日、買い出しのついでに上町の美術展示室を訪ねると、スタッフの方に「ドーナツさんですか?」と言われた。

Twitterでも、「ドーナツ屋さんだと思っていました」とコメントを頂いたことがある。Twitterではこのブログのアカウントで活動しているからだ。

Googleマップに登録して、スパイスカレーの写真がバズってますよ、という通知がきたり(そんな通知は初めて見た)、徐々に店の存在が認知されていることを体感している。

ネットワークの格段の拡大

私は何回か閉めた週もあったし、いまのところ、店が盛況というわけでもない。それでも週7稼働だと疲労が抜けず、体に倦怠感が募っていた。休みは大切を知る。

それでも、店に来てくれる方がいて、応援してくれる人がたくさんいる。〈エデン横浜〉の人たちだったり、この2ヶ月で関わってくれる人はさらに増加した。

珈琲の焙煎もスパイスカレーづくりも、どちらも楽しい。どちらも壁にぶつかっているが、それすらも楽しい。お客さんに口にしてもらうと、さらに嬉しい。

道のりが大変だった文章、津山店より嬉しさは増加している。生きているなあと感じる。

時間が物理的に限られているからこそ、大切に時間を使わなければいけない。

今回の仕事は工場だったのだが、工場は作業効率を突き詰めている場所なので、仕事のやり方を観察するのが楽しかった。

目的がより明確化したので、あとはやることやるだけになったから、余計なことを考えずに済むようになった。シンプルになったので、精神的に楽になった部分がある。

私は被害妄想が強い部分がある。事実を曲解して、ありもしないことを思い浮かべたりする。他人が、私を笑ったり、批判する様。

珈琲の焙煎を何度も何度も繰り返していく内に、そういった心の弱さが消えていった。幻想が焙煎の火に吸い込まれていくようだった。

珈琲が今の自分を支えてくれている。

私もこれを読んでいるみなさんも、いつかは死んでしまう。生きている内に、やりたいことを楽しみましょう。それが神意です。許された時間に感謝できるように。私は2年前に亡くなった父にそれを学びました。

よく生きる