2年前の12月。津山の店を閉めて、派遣で工場で働き始めた。以来、現在に至るまで、ほぼすべて派遣で働いてきた。
今回は派遣について思うこと。
店を1本化して、これからの人生は経営でやっていく。なので派遣は来年で終わりだ。
店を開くまでにお世話にもなった。一方、思うことも多々あった。この記事が、働き方で悩む人に役に立てればと思う。
変遷

去年の12月も、鎌倉の工場で働いていた。今年も工場なので、12月はそういう月なのだろうか。
工場は作業場の台の高さが合わなくて、腰が悪くなるので、工場はもうやめておく。
なぜ短期の派遣にしていたかと言うと、状況が流動的だったから。また、給料がよかったから。
津山では高くても時給1000円だが、こちらでは最低賃金。横須賀なら派遣で安くても1200円からで、高ければ1500円はある。横浜ならもっと高く、私が春にみなとみらいでしていた仕事は1600円だった。
フルタイムなら保険などで差っ引かれても月収18万〜24万円は稼ぐことができる。短期の場合、2ヶ月までなら保険は引かれない。
こちらに来てから、オープン前の2ヶ月と、体調を崩していた時以外は月収20万円を割ることはなかった。
面白かったのは、人間関係がめんどくさいからというので、短期の派遣ばかりしている人がいた。そういう人は、主婦だ。
正社員をしていたが、ストレスや負荷が多く、派遣に切り替えたという人もいる。
コロナ全盛期の2021年のあたりは、正社員だが仕事がなくて派遣をしている人もいた。会社を辞めさせられはしないが、会社には仕事がないという状況だ。
いざと言う時、企業は私たちの生活を守ってくれない、ということを知った。
また、コロナで仕事がなくなったプロにもよく会った。バーテンダーやソムリエなど、お酒の仕事をしていた人たち。知識や経験があるのにそれを活かせなくて、専門外の業務をしている。
ホテル関係者も同様の理由で働けない人が多かっただろう。
私のように、店を持っていたが、やむなく働いていた、と言う人もいたはずだ。
一方で、私が働いた弁当の工場では、コロナの巣篭もり需要で正月のおせちが特段に売れていて、創業30年以来、最高の売上だった、という場合もあった。同じ理由で、ゲームも売れていたらしい。
業種ごとに栄枯があるのは、仕方がないことだが、不平等でもある。
多様

私が先月に訪れた横浜の派遣会社によると、コロナの打撃が2022年末の今になって来ているらしい。求人も増えて、景気が戻りつつあるのか、と勘違いしていた。正社員の募集も、現在は派遣でかけているそうだだ。
私も横須賀の長期で受けてみたが、2連続で落ちている。振り返ると、たしかに条件が高かった。通常なら正社員としての募集だったのだろう。
なので、今は仕事があまり選べないという状況のようだ。
比較すると、短期の募集は受かりやすい。
派遣には多様な経歴の人が集まる。中でも、特に働きがいい人がいる。20人に1人の割合で、仕事が格段にできる人がいる。
例えば、この草団子にスミレの花弁を載せてくださいね、という作業があったとしよう。普通の人が1時間に30個だとしたら、50個はつくってしまうような人。
作業効率が良い人の特徴は、コミュニケーションが上手。ちょっとした一言であったり、同僚への気遣いや配慮がものすごいできる。
仕事が自分1人でやるものではない、ということをよく理解していて、流れを円滑に持って行っている人。
正社員だと、数字をあげている、つまり会社により多くの利益をもたらしている人が正義で、人格の良し悪しは別の話だ。派遣だと、また違うのかもしれない。
各職場の正社員を見ていても、この人は店をやったらキツいだろうなとか、経営だとさらに違う話になる。プレイヤーとして優れていても、マネージャーとしてどうか。リーダーシップと個としての能力は別個のようだ。
行政に関わる仕事はかなり特殊だった。都合3回やったけど、ルールに曖昧な部分が多く、元を辿ると国がきっちりしていなかった。
前の職場の人も見ているかもしれないので書くが、行政に関わる仕事をしている人はホントよくやってると思う。大変だ。
民間の会社は利益がゴールなので、ただ効率のことだけを考えれてばいい。逆のようなんだけれど。
正社員で働く、ということが正解ではない。客観的に見てると、人間が同じ場所に閉じ込められて毎日顔を突き合わせて忙しかったらそりゃストレスも溜まるわ、とも思う。
羊の群れに入らぬように

最後に。お金を稼がせてもらって憚るが、派遣という働きはあまりよくない。利用されている感が強い。
併せて、この働き方だと身につくことが少ない。私は店をしていて、違うジャンルの業務でも、自分に当てはめて応用したり、人の流れを観察することで活かそうとしている。
が、生活のために、というだけではもったいない感じがする。こんなに能力がある人が、だれでもできる仕事をしている、というのは適材適所ではない。
短期の派遣が、専門性から遠くかけ離れたとこにいるからだ。
向上を望む人は、自分で何か始めることを願います。
それでも重要な出会いはあった。この働き方のスタイルがいいという人も理解できる。
仕事を与えてもらってありがとうございます。自分の軸に、プラスになってもらっている。派遣生活もあと少しで終わりか。