湘南移住記 第197話『感謝のつながり』

店の庭が荒れていたので、なんでも屋を開業したマツダくん(仮称)に草刈りを依頼する。

約束した日は前日から雨。当日の朝も天気がぐずついていたが、昼前には晴れてきた。歩いて15分のところに住んでいるらしいマツダは、そのタイミングで店に来た。運が強い男。

お仕事


湿気が強いが、夏の晴れ間。山に囲まれた富士見町。蝉の声が強い。

今回のギャラは1500円と前から話していたので、1時間もやってくれればいいか、と考えていたが、なんと4時間もがんばってくれた。

これくらいでいいよ、とこちらから言うも、まだ中途半端なんで、としっかりやってくれる。マツダのおばあちゃんが貸駐車場をやっていて、その手伝いをしていたせいか、草刈りに慣れていた。熟練の鎌さばき。

庭の整備のプランや、私が気がつかなかった店の外観についての提案もしてくれた。あまりにいい仕事をしてくれるので、月一で仕事を継続的に頼むことにした。

岡山で店をやりはじめて、仕事を頼んだことがいくつかあった。身銭を切って仕事を頼むとその人の人間性がよく理解できた。

やっつけとはいかないまでも、表面のやりとりで仕事をする人。マツダのように、支払ったお金以上のことをしてくれる人もいる。お金を支払っても仕事をしてくれない人もいた。

だれが信頼できる、となったらもちろんマツダ側の人間となる。お金以上に気持ちで仕事をしてくれる人。

そういう人とは、関わり合いを待ち続けたくなる。無機質な表現で、費用対効果というか、心で接してくれる人。信用を超えて信頼となると、そういった人たちになってくる。目的は利益、なのだが損得だけで関係を計らない人。

なので、ごまかしたりズルをする人はあんまり仕事を頼みづらい。その人を好きかどうかは別にして。

マツダと県立大学駅前の町中華屋〈末広〉さんで食事をした。駅前の人気店。私は普段はあまりたのまない焼きそばを食べた。横須賀の町中華屋は美味しい店が多い。メンが硬めと柔らかめのとこにわかれている工夫がとても良い。鶏肉がはいったあんの具合もよかった。

鶏やきそば 910円

これからも


仕事を終え、佐野町の銭湯〈のぼり雲〉ヘ行って風呂を浴び、〈No.13〉へ。マツダははじめてスペシャリティコーヒーを飲んだ。それも嬉しかった。

マツダが新しいことを始めたい、というのでそのまま中央へ行く。道中、私が仕事を依頼して、感謝をして嬉しかったと話してくれた。

こちらこそ、となるし、ああ、仕事を頼んで本当に良かったと感じた。その言葉をもらって感動してしまった。こういう、感謝の連鎖を起こし続けたい。これが経営者の意味か。

自分の生活、衣食住にもさまざまなプロフェッショナルが関わっている。生きていく上、だれかの仕事からは離れることができない。対価を払って、関わり合いをつくりつづけていく。

マツダとはこれからも関わり合いを続けたいと思うし、何かを目指せればと思う。

なんしか、ありがとう。

綺麗事ではなく、仕事の本質はこうではないだろうか。少なくとも、自分の事業ではこういったつながりをつくる。