湘南移住記 第194話 『サウナ』


火曜日。日曜日がなかなか寝付けれなかったなで、月曜日はたっぷり寝た。眠かったものの、スパイスカレーの検証だけはしっかりとした。

トマト缶とアプリコットをつかったベースに、玉ねぎのスープ、焙煎したスパイスを加える。上町の京急ストアで小さいカニが半額で売られていたので、一緒に煮込んでみた。

理想のカレー

逗子にある〈スパイスツリー〉さんでもカニをつかったカレーを出していた。〈スパイスツリー〉さんは、日本カレー名100店に数えられる。旨味とカニの香りが芳ばしく、全体的にまとまった印象だった。魚介類を使うということは、南インド〜スリランカのアプローチ。

カニの臭みを消すためにウィスキーとクミンパウダーをかけて下処理をした。

この下準備には後悔した。後で思いついたが、カニをココナッツオイルで炒めるほうが香りがより出るはずだ。

油は揮発性があり、食材の持つ香りを1番引き出すことができる。

またアルコールは油を溶かす効果がある。ということは、香りを閉じ込めた油に、アルコール分を加えるとより料理に香りを演出することができるのではないだろうか。

〈No.13〉のアイスコーヒーも、珈琲に油膜が貼っていた。いままでよりも香りが立体的になる。

もしこの仮説が立証できれば、目指していた風味の立体化が実現できる。お客さんさんをより喜ばすことができる。

サウナ

疲れが溜まりすぎて、体がだるく、重くなってきた。鉛のようだ。力が入らない。仕事終わりに佐野町の温泉施設、〈のぼり雲〉に寄ることにした。サウナで汗を流すためだ。



雑巾を搾り取るように、体から疲れを取り除いてくれる力が、サウナにはある。神戸時代、〈灘温泉〉のサウナと源泉にはお世話になったものだった。

〈のぼり雲〉は料金が少々高い。入館料が税込で1100円かかるので、たまにしか行けない。

料金が高いものの、〈のぼり雲〉は相当いい。なにかしらの施設をリノベーションしたのだろうか、広く、清潔で、居心地がとてもよい。

サウナにる。12畳ほどのスペースで、10人も入れば一杯になる。座る場所が2段に分かれていて、高い段が熱い。最初に入った時はほぼ満杯で、熱源から最も離れた先の、低い段に座った。

あまり熱を感じられなかった。このままでは効果が薄くなる。他の客が出かけたところを見計らって、熱源が目の前にある席に移動した。


プラスチックの、白い時計が10分を刻んだのを見計らって、サウナの外に出た。水風呂に浸かる。最初は冷たいが、20秒もすれば慣れてくる。

水風呂に浸かると、意識がはっきりしてくるというか、頭に血が通う感覚がある。現実が明確に見えてくる。余程、普段が脳疲労を起こしているのだろう。脳に血を通わせる。

露天風呂がウッドデッキになっている。他のお客さんの邪魔にならないよう、弁えながら寝転ぶ。夏空と、風にざわめく木々が見える。

最近、思考だけでなく、視覚に意識をもっていくようにしている。いま目の前にあるのは自分の心の内にあるものなので、目を凝らしてみることにした。

横須賀の素晴らしいところは、山を削ってできた街なので、自然と街が一体になっているところ。

夕方の5時半。成田空港から出発したであろう飛行機が飛んでゆく。サウナに入ってさた影響で、視界がぐるんぐるん回っている。それを楽しんでいた。低い空を飛ぶ雲が、3Dになっているかのように見えた。

気持ちのいい風が、体を洗い流してくれる。

施設内で三浦野菜が売られていた。にんにくとモロヘイヤを購入。

玄米が切れていたので、上町の京急ストアで2キロの白米を購入。白米を自分から買うのは、いつくらいぶりだろう。いつもはお米屋さんで玄米を買っている。湘南のお米を買った。

この後、スパイスカレーの検証。キッチンの片付けと整理もできたら。ここが仕事場になるので、動きやすい導線を考えておく。