湘南移住記 第184話 『玄米』

木曜日。休み。昨晩はよく眠れず、遅くまで考え事をしていた。

夢を見た。薄暗い家に私がいる。部屋は畳の四畳半。部屋の外から母が、「なんで私を許してくれんのん!」と怒ってきた。元女将も横にいた。

母とは津山の店のことで、今月、電話で言い争いになった。このことはまた改めて書くが、心労の原因でもあった。

いろいろあったが、母のことは許すことにした。

起きると朝10時になっていた。

意識半ばで起きあがろうとすると、背中に岩が張り付いたように重い。起きて台所に行っても、「疲れた」と無意識に呟いてしまった。

さいきん、寝ても疲れが取れない。

尿道結石は変化なし。白湯をとり、排出を試みるが、石は出ない。

尿道結石とは別に疲労が溜まっていることに気づいた。もしくは、別になにか悪い要因があるか。

陰性の変化

ある日、ある現場で気づいたことがあった。私はセーターの上に長袖の服を着ていたが、他の男性は「暑い」と言って半袖を着て仕事をしている。私はその場を寒いと感じていた。

自分はこんなにも体温が低かったろうか?と疑問に思った。むしろ高いで、血液の循環も良かったのに。

調べてみると、原因をひとつ突き止めた。玄米だ。

体調がよくなるために玄米菜食の中心をしていたが、大谷弓子『未来食』を読むと、玄米菜食をつづけると陰性の体質、要するに冷え性になってしまうとのことだった。

YouTubeをみると、玄米菜食中心の生活を続けていると、生理が止まってしまった女性もいたという。

玄米は毒性もあるという説がある。玄米が鳥などの外敵から身を守るために、フィチン酸とアブシシン酸と言う成分を纏っていると言う。これらの成分がミネラル吸収を阻害するという説だ。

ただし、これは仮説だ。科学的なエビデンスはない。実際に、政府は玄米の毒性を否定している。

だが実際に私と同じように、玄米食で体調を崩している人もいる。

私が思うに、ひとりひとり体質もちがうので、一概にこれがいい、ということはないのではないだろうか。

解決策として、玄米を浸水し、発芽玄米として食べるといいらしいのだが、発芽玄米でもミネラル不足になったという女性の経験談も見た。

次は7分づきの米にする。店のものも。体が陰性になると、性格も内向的になってしまうようだ。口にするものの影響は大きい。

玄米が体にいい、という情報を盲目的に信じることは失敗だった。

いい部分もたくさんあった。玄米を食べていると、野菜が美味しく感じられ、野菜の香りや風味の微細に味わえるようになった。以前は野菜の鮮度がわからず、スーパーの安かろう悪かろうなものを買っていたが、質の悪さが理解できるようになった。

珈琲も同じで、産地や生産者の個性によって風味がまったく違う。微細に捉えれることができれば、楽しみも広がる。

ヒップホップもそうだ。型が決まっている分、個性がわかれば、無限につくりだすことができる。

元気になる。