金曜日、4月1日。いつもより駅に人が多くいる。女子トイレには行列ができていた。今日は入社式のようだった。
私は新卒で会社に入ったことがないので、入社式に参加したことがない。そういう足並を揃える行事が好きではないので、参加しなくて良かったが。

このコロナの混乱の時期に、入社できた人たちは運が強い。コロナ関連倒産も多く、飲食業は冷淡たる業績が続いている。努力だけではくぐれなかった門だろう。
初々しい新入社員を祝福しながら、私は私の戦場へ。
木曜日のように、この仕事の辛い部分が出たが、理解を頂いてなんとか乗り越えた。
仕事終わり、件の元社長と話をする。経営のことについて教わった。
対話の中で心に残ったのは、仕事を数字のためにやりすぎると、なんのためにその仕事をやっているのか、わからなくなること。
何のためにやるか
津山のhatisをやっている時、1日の売り上げ目標を定めた。この売上なら、店も存続できて、自分以外も食べさせていけるというライン。生活をしなくてはいけないし、多くのお客さんに来てもらいたいから、数値目標を儲けることは正しいと考えていた。
だが、いざ数値目標を掲げてやってみると、接客に邪心が出てしまった。接客しながら頭の中でチャリンと音が鳴る。お金中心にその日を過ごしてしまう。

カフェをやりたくてカフェを始めたのに、お金のためにやってしまっている自分。
喫茶店商売は、仕事以上の部分がある。ある人の生活の空白をつくり、ある人に寄り添う。数値化できない心の仕事。
カフェだけじゃやってけないだろう、と散々言われたけど(勝手に決めつけてんじゃねーよと想っていたが)、現実は厳しい部分もあった。土日の夜は、Sound Bar Zackで働かせてもらった。
徐々に売り上げの平均値は上がっていき、平日でも忙しい日が出てきた。
今回は縁もゆかりもない横須賀で始める。いや、縁はすでにできているか。
今回は、最初は土日だけで始め、平均が1日で2万円以上売り上げれば商売でやっていく。
大阪スパイスカレーのパイオニア、〈コロンビア8〉を思い出した。ついに東京にも出店した有名店。
訪れた時、感じたのはお客さんとの関係を作ることに心血を注いでいるということだった。
お金だけではなく、縁をつくるためにやる。