湘南移住記 第134話 「ギア・チェンジ」

津山から東京。以前とは別の派遣会社に、夕方5時に渋谷にて面談の予約。一度横須賀に帰ってしまうと、交通費がかさむので、その日は東京にいることにした。

節約の末

新しい仕事の条件は、平日の週4。土日に店を開くからだ。時給が1500円以上であれば、保健など引かれても手取り20万円ほど。そうなると、給料の高い横浜までは出なければいけなくなる。

店舗と自宅を兼ねているので、店がよっぽどの赤字でない限り存続はできる。トントンまで持っていければ、いくらかの貯蓄ができる。

出費の方は、ここ数ヶ月暮らしてみて、12〜3万円で暮らせることがわかった。工夫を積み上げれば、もうすこし削ることができるだろう。

いくつか工夫をした。肉を常食から外したこと、お金をおろすのを週に一回にしたこと。

肉を減らし、玄米穀物野菜中心の生活。野菜を千円あまり買えば一週間もつ。玄米も、一人なら五キロ千五百円で、たくさん食べても一ヶ月はもつ。

培養肉が出回り、一般市民ではまともな肉が食べれない時代がくる。私たち日本人は、元々肉をたべない民族だ

その代わり梅酢や出汁など、調味料は国産のいいものを使う。例えば小麦粉ひとつとっても、アメリカ産のものはグリサホートという強い農薬が入っており、日本政府はそれを認可している。

詳しくは東洋経済オンラインのこちらの記事を→https://toyokeizai.net/articles/-/451051?display=b

小麦粉は業務スーパーなど、最安で一キロ二百円からあるが、これは健康や心を害する食品なので、気をつけてください。納豆なども、よくみるとアメリカ産やカナダ産、中国産の大豆を使っているものが多い。

アジアの一部では、もはや日本産のものより、中国産の方が安全、という認識もであるようだ。

それくらい、日本は薬で毒されている。アンテナを張って、自分や家族が口にするものは気をつけていきましょう。

横須賀だと、さいか屋に入っている〈こだわりや〉には国産のいいものが置いてあった。

魚は港がたくさんあるので、安浦港の直売でたまに買う。感動するほどに美味しい。秋谷に〈すなかごっそ〉という野菜の直売所があるのだが、遠くいけない。

三崎には野菜の直売所も近くにあり、豆腐や海苔など、手作りの良いものがたくさんあった。都会より街のほうがかえって食が豊かなことが多い。

雨で濡れてはいるが、食が豊かな三崎港

流し焼き

元女将に教えてもらったレシピで、小麦粉にキャベツと水を溶いて焼くだけという流し焼きというものがある。これが案外おいしく、お腹も膨れる。

私は生地に出汁をいれたり、具にチーズをいれる。それだけでかなりハッピーだ。キャベツを三浦産の大根のすりおろしにすれば、大根餅になる。とき卵を生地に加えればお好み焼きだ。

小麦粉は節約に使える。穀物は数倍に膨れて、エネルギーも高い。ちゃんとした小麦粉を選べば、優れた食品。

実験してみた結果、疲れたときは体が肉を欲しがったが、それ以外はあまり。

このことは『未来食の実践』として記事にまとめる。

東京にまなぶ

世田谷の〈バレアリック飲食店〉に行った。バレアリックがコンセプトのお店。レコードなども置いて、食と音のことを扱っていた。

バレアリック飲食店の多幸ライス。多幸感は今のわたしにとって必要なものだった。

これで、東京の行きたい店はほぼ行ったかな。ミュージックバーに行き、食と音がどう交わっているか、というのも見たいが。

世田谷は静かなところだった。渋谷に近いのに、とてもいい雰囲気。同じ東京とは思えない。

東急世田谷線・上野駅

渋谷・スクランブルスクエア13Fにある蔦屋書店で作業をした。MacBookをもってリモートをしている人がほとんどだった。スタバも併設されている。こういう、仕事もできるスペースが津山に増えればおもしろい。

本屋が併設されたカフェ。そういうものが、津山駅前にはないといけない。

17:00に渋谷に面談。が、またもや交通費のことで条件が合わなかった。職場は横浜の日吉で、定期が一ヶ月に二万五千円以上かかる。この派遣会社も交通費が出ない。indeedの募集要項にはそれが書いていなかった。

仕方なく、諦めて帰った。

気持ちを変える

それから数日、改装の準備をしていたが、どうも気乗りしなかった。

開けたとしても緊急事態宣言が出るかもしれない。人が来ないかもしれない。コロナのことに振り回されている。

しなきゃいけない、の思いばかりで、わくわくしていない。私は義務感から動ける人間ではないようだった。

今朝、資材を買いに行くついでに浦賀まで自転車で出かけてみた。気分を変えるために。自転車のサドルが壊れていて、立ちこぎしっぱなし。

横須賀美術館、元日本軍の砲台跡の横須賀教育館などみて、海を眺めていた。

このまま元女将のことを引きずっているわけにはいかない。前に進まなければ。私にはもうそれしか残っていない。

馬堀海岸の〈かねよ食堂〉が気になっていたのだが、行ってみると満席で、予約がないと入れなかった。この状況だというのに、だ。店を始めたら、人が入るかもしれない。

以前この場所を通った時に、〈Two Star〉というお店があって入ってみる。バイク好きが集まる店のようだった。オーナーのみえこさん(?)という方と話をした。

かなりエネルギッシュな方で、革職人だったり、絵を描いたりと好きなことをやっていた。服もカバンも作っている。器用な方だった。

雰囲気と眼差しが、津山でミシュランを獲得した〈わらうかど〉のあかねさんにすこし似ている気がした。

野口さんもみえこさんにも言えることだが、コロナのことはまったく歯牙にかけていない。不安になっている自分とは大違いだった。

そこで、もうギアを入れ替えることにした。私も、やりたいようにやる。やってみてできなければ、やり方を変えてやり直せばいい。コロナのことは置いておく。

一日でもはやく働いて稼ぎたいのはやまやまなのだが、順番があべこべた。まず、営業許可が降りる段階まで準備して、仕事を見つける。何個か目星はつけてるものの、今のままでは決まらないだろう。道筋というか、そういう風になっていると感じた。向いてる方向が逆だと、前に進めない。

この一日二日が体が重くて作業が思うように進まなかったが、これではいけない。そんな一日を送ってはいけない。

私が生きてる今日は、死なせてしまったアストラッドや、亡くなった父が行きたかった明日だ。いかに今日一日を、懸命に生きれるか。私も、時間は限られている。時間をお金にしていく以上、24時間をどう使っていくかが鍵になる。

また、お金周り。稼いだお金をどう回すか。身内や仲間に仕事が振れるならそこで回したいし、自分のやるカフェがどう地域に、横須賀に役に立てるか。

そこまで考えておかないと、店が続かない。

もうこれ以上、不安や恐怖に負けちゃおえん。自分に打ち克つ。