湘南移住記 第117話 「マーレ」

ウチの次男坊、猫のマーレが急性腎不全になった。12月の朝、おしっこをしない、ご飯を食べないと女将からメールがあった。動物病院で診てもらうことになった。

マーレは女将が特にかわいがってる猫だ。シャムの雑種で、オス。全然わたしたちに懐かない。小生意気で、極度の怖がり。ヴィルゴとミウシャの父親。

元気のないマーレを、女将はたいそう心配していた。

病気はいつも青天の霹靂

病院で急性腎不全の診断を受け、即入院。先生によると、きょう連れてこなかったら死んでいたらしい。腎臓の数値が通常の3倍はいっていたそうだった。ストレスによるものだろうか。おしっこが出ないので、膀胱に点滴をうち、一晩様子見。

女将から報告を受けて、神様に祈る。正直な気持ちを言うと諦めていた。去年に父と祖母が亡くなり、家族が去ることが続くなあ、と天井を見上げて考えていた。

翌朝。なんとなく、アイツは生きてるなと直感した。10:30。職場でマーレが峠を越したとメールがきた。

マーレへの対応を見て、女将が強くなったと感じた。入院した夜は、スマホ越しに涙を見せていたが、乗り越える強さをもつようになった。入院費は私が出しますと頑として聞かない。

よかったなあ、マーレ。また暮らそうで。

暗号

鎌倉駅東口でメモをひろった。水色の付箋に、単語が四つ書いてある。

「切符、仲村dental、宮益坂メリー、Maruko」。どういった意味を持っているのだろうか。書いた本人が本人のために書き残した物なのだろうが、他人からするとよくわからない。意味を成してない。だがなにか面白さをかんじた。