湘南移住記 第111話 「鎌倉通勤」

店の改装費と経営資金を補填するために、鎌倉へ働きに出ることになった。

顛末

引っ越し前から動いていたのだが、今日やっと決まった。隣町の田戸台にある塗装業に応募したが、返信がなかった。2回も応募したのだが。DIYを身につけれるし、こちらの内装業者にツテができればという想いだった。

次に、衣笠のちくわぶの製造会社に応募したが、職場見学まで行ってだめだった。この派遣会社は一年前の今頃、店を閉めて最初に働いた派遣会社だったがらとにかく時間がかかった。

ウェブ面談まで数日、職場見学まで数日、そこからシフト調整に時間がかかると言われたさらに数日待った。今週の火曜、シフトを調整して連絡をすると言われていたが、蓋を開けて見ると別に正社員を雇ったから枠が埋まったということだった。

こういう誠実ではない対応をする会社だったので、働かなくてよかったと思う。

返答があったその日の夜、第三候補くらいだった鎌倉の食品製造工場に申し込んだら、翌日にウェブ面談、今日職場見学、そして明日から働くことになった。とんとんと話が進んだ。

職場見学後、12月末までという話だったが、増産予定で2月までどうかと言われた。現場の様子を見させてもらったが、ひとつひとつ丁寧に手作りされていた。使っている道具も銅鍋や、小麦を練るのに大理石を使っていたり、質をあげるための工夫があちらこちらにあった。

働いている人も素晴らしかった。優しくて、陽がつよかった。

この会社で働けば、私の店でのメニューや珈琲づくりにもいい学びがあると確信した。資金づくりも兼ねれる。派遣会社の方にも現場の方にも重宝がられて嬉しかった。

なにより、場所がよかった。はじめて鎌倉に来たとき、泊まったゲストハウスのちかくだった。常盤。空気がとても澄んでいて、安らぐ場所。

鎌倉からのアンサー

職場見学がおわり、鎌倉駅から由比ヶ浜へ出た。駅から少しのつもりが、歩くとけっこうかかった。途中、レンバイで黒い大根を買った。ひとつ100円。おまけに、緑色の大根もつけてくれた。鎌倉の人は最高だ。鎌万という魚屋で半額の生シラスを買う。250円。

女将と私が大好きなパン屋、let it breadでくるみのブレッドを買う。くるみのブレッドを買った。ここのパンは本当にうまいし、不思議と腹持ちがいい。

由比ヶ浜へでた。素晴らしい夕焼けだった。これからやりたいこと、やらなければいけないことが山積みなのだが、この夕焼けを見れるだけで人生言うことねえわという気持ちになった。

砂浜で暮れる夕日を見つめる。すると太陽に、お前はここにいるべきじゃないと言われてるような気がした。やはり、いつも頭のどこかで、津山のhatisをやりたい、今ならこう改善するのにということが思い浮かぶ。

鎌倉に拒絶されたような気がして、ショックだった。パニックになりそうだった。

ただ、この職場には求められているし、このまま進んでみる。