アメリカの2021年間ベスト音楽作品に、日本のアルバムが取り上げられているという記事をみた。
日本音楽の特異さ
Sportfyのバイラルチャートを見ていると、あることに気づく。アメリカのみならず、ヒップホップが世界を席巻しているが、日本だけそうではないということ。例えば、2021年8月29日にリリースされたカニエ・ウェストの新作『Donda』は、世界中の人々が同時に聴いていたが、日本のみバイラルチャートの一位はyoasobiだった。
日本で人気の曲でも、世界から浮いているというか、ずっと90年のドラマが続いているという感じがする。ガラパゴス的といえばガラパゴスなのだが。
劇場版エヴァンゲリオン最終作に挿入された宇多田ヒカルの『One Last Kiss』は、いま流行りの音だった。シンセでチープに作るのかと思いきや、複雑に展開され、非常に音楽的なトラック。古典的な日本語詩の宇多田ヒカルの歌が乗ると、ほぼもうアートだ。というか、世界標準で音が作れるのって、日本では宇多田ヒカルだけなのかもしれない。
ブッとんでるVtuber
月ノ美兎の『月の兎はヴァーチャルの夢をみる』は非常に日本的なアルバムだ。こんなキラキラな音作りをしているのは日本だけにしか見られない。
だが、かなり音楽的にしっかりしている。一曲目からカットアップのループがバグったように配置されている実験曲に、ああ、この人だいぶ飛んでるなと思う。プロデューサーを見るとASA-CHANG&巡礼だった。なんでやねん。
9曲目『Nowを』はいとうせいこうが作詞作曲に参加しており、ダブポエトリーな作品になっている。Vtuberアイドルなのにダブ…というのが飛びすぎてて半端じゃない。
これがアイドル?
ただの騒いどるだけじゃないか
と、サビで騒ぐだけ騒いどいて、突然自分を突き放す感じが躁鬱ぽくていい。いいのか。
動画を見ていると、銀粉という性癖属性を持っているらしい。声からすると、ふつうの女の子だが、すこし特殊だ。
ジャケを描いたサメヤマ次郎さんの絵もポップでいい。元アニメーターみたいだ。ぜひ一度聴いてみてください。
