湘南移住記 第八十六話 「ふりだし」

ふりかけではない。やぶさかでもない。横須賀の案件が立ち消えてしまった。借りようとしていた一軒家は居住兼店舗として使えたものの、問題がひとつあった。

家の隣が幼稚園で、家までの道が幼稚園の私道になっている。その道を通らざるを得ないので、幼稚園に通行証を発行してもらう必要があった。大家さんが確認をとったところ、幼稚園は普通に住んでもいいが、不特定多数の人が通る許可証は出してくれなかった。店ができない、となれば諦めるしかない。

ほぼほぼ決まってこれから契約、というところだったのでなんとも残念だった。

現在の家も来月で退去するという連絡をしていたので、取り消さなければいけない。現在の大家さんに電話したが、今日は返信がなかった。

後になって気づいたことだが、すこし雰囲気があった。女将は帰ったあと、胃痛になり、私も先日あの物件に行ったところ、帰って久しぶりに金縛りにあった。古い家を探す場合、そういった点も気をつけなければいけない。

建物自体はよかったし、気にならない人は気にならないだろうから、いい人が見つかりますよう。

できることがふえている

しかし、どうしようか。ジモティーで横須賀市のまたまた別の案件に連絡した。居住用兼店舗は条件が限られてくる。店舗として借りてもいいかもしれない。横須賀はボロボロだが安い空き家物件があるので、いくつかあたってみることにした。

YRP野比では創業すると100万円の補助金が出るらしい。だが、ネットだけではピンとくる物件がない。家賃も10万円はする。デポジットだけでも60万円、借りるだけでも内装費や什器代とは別に100万円はかかるということになる。

結局、場所だ。不動産屋さんに聞いたら、ネットにあがっていない物件はたくさんあがっているらしい。こちらで人脈をつくったら、何かご縁があるかもしれない。

次の段階に入ったってことかな。もうすでにご縁の輪ができつつあるが、さらに広げて、いい場所に辿り着く。

珈琲の道具も揃えつつあるし、できることがふえてる。

今の三崎のこの家で、販売だけの事業をやってもいいしなあ。そうしよかなあ。

いい方向に行くよ。大丈夫。