花と雨と2020

映画「花と雨」が公開された。たしか2年前にSeedaのツイッターでクランクインがアナウンスされたので、それくらい製作に時間を費やしたのだと言える。映画というのは作るのがそれだけ大変なことだ。

舞台挨拶の動画も公開され、Seedaの人間性そのままなキャラクターが顕になる。

気になったことがある。この動画に「時代が時代なら日本一のラッパーになってたろうに」とコメントがあったこと。日本一になってたろうに、じゃなくて、ある時期は紛いもなく日本一のラッパーだったのだ。この人は。圧倒的なスキルとストリートでのスピードある動き方。好きではない言い方だけど、ラップゲームの頂点にいた。

映画「花と雨」主演の笠松将がこれまたSeedaがはじめたニートTokyoのインタビューでこう述べている。

みんなバトルばかり見に行くのではなく、100%以上のクオリティのものを見に来てください。この発言はいま流行のバトルを批判しているものではない。刹那に花火を散らすおもしろさ。予定調和では産まれないモノ。たしかにフリースタイルにはそれがある。

しかし時間をかけて妥協をそぎ、完成度を極限まで高めた作品もヒップホップ にはたくさんある。Bach Logicがアルバムをすべてプロデュースした「花と雨」には時代革新をもたらしさ高いクオリティがあった。Seedaは後者で、圧倒的な作品を作ってきた人なのだ。どちらがいいということではなくて、偏りすぎなのだと思う。

日本のヒップホップ シーンには何年か一度、技術革新をもたらすアルバムが出現している。キングギドラ「空からの力」、AKLO 「Red Pill」、そして「花と雨」。このアルバムたちはその時代のアップデートを果たしてきた。

近年も晋平太とバトルしアジアやアメリカでは当たり前のアカペラでのバトルに新しい提案をしている。Seedaのヒップホップ シーンに対する貢献はとても大きいものだ。

Seedaがやってきたこと

すべてはフォローしきれないが、Seedaが果たしてきたことをざっとおさらいしていきます。

96年、ManuevaのサイドMCとして活動を開始。意外と早い。この時期の音源は探しても見当たらない。96年といえばブッダブランドの人間発電所がリリースされ、さんぴんキャンプが開催された大変動の時期でもある。

その後、ソロアルバムを発表。この時期にのちの名プロデューサー、I-DEAに出会っています。アナログカットされている『外角低目 feat.Klow』はかなりクラシック。

I-DEAのインタビュー。