2019年 グッドな新譜

2019年もたくさんいい音楽がリリースされました。



サブスクリプション時代になり、音楽が水のような扱いになった。アーティストの収益面での減少など悪い面もありますが、音楽が純粋に音楽として楽しめる時代になったともいえます。情報が許容量をこえるほど膨らみ、最早手におえるレベルではありません。開き直ったかのように大多数に合わせることなく、個人でいかに楽しむかがキーと言えます。音楽批評やジャーナリズムよりプレイリストの共有やシェアなど個人間での共有。権威ある人より身近で信用できる人のリコメンドで楽しんでいます。例えば耳目の早いリスナーのユーチューブチャンネルで情報を知ったり。事実、検索でアーティストの情報を調べてもレコードショップの販促用コメントしかヒットしなくなったことも端的に今の状況を表していると言えます。

個人の時代

例えばInstagramのように作り手でなくても、センスのあるレイアウトをとることができれば注目される時代になってきました。カフェのお客さんであっても、切り取り方ひとつでインフルエンサーにもなりうるのです。その時代にあっては、作り手側と受け手側の関係がフラットで必要以上の尊敬や宗教がかかった人気は生まれにくいでしょう。ある意味で消費者が俯瞰的にもなったといえ、無駄なCMに踊らされず、自分の意志で買い物ができるようになりました。必然、商品の質も上がっていっています。さすがに消費者もバカではないですから。

JPEGMAFIAはルイジアナ出身で空軍出身の軍人のラッパーです。2019年にリリースされた彼の作品はヒップホップの枠をこえ、多面体的な音楽作品に仕上がっていました。今この瞬間にもリリースされている作品の多くはジャンルという軛は必要ありません。飽和したあらゆるジャンルの要素が融解し、チョコレートとバターのように溶けあう。漠然とした約束事から解き放たれて自由に創作することができます。

2019年で最も印象に残ったのは彼の作品でした。現在もソリッドな作品をリリースを楽しみながら日々を暮らすことにします。