岡山県北西部にある山合いの街、新見市。古くからの街並がのこり、山や川に自然に恵まれたすばらしい街。とはいうものの西は広島県、北は鳥取県と、少々アクセスが不便。でも行ってみたら、行く価値はある街だと感じました。なんちゅーか人情豊か。おもしろい動きもありそう。その破片を紹介していきます。
外国人にうけそうな街
取材当日はGW進行中まっただ中にもかかわらず人はまばらでした。新見駅で蛍光色イエローのジャケットを着たおっちゃんにこのへんにうまいメシ屋はないか尋ねてみると、「よかったら新見の歴史紹介ツアーを連れてってあげるで、タタで」とファンキーに誘ってくれました。しかもコーヒー付き。これはラッキーです。二つ返事でついていくことにしました。
昼食を済ませ、車で合流。新見は昔からの建物が立派に残っていて街並も映画村みたいでした。これは街をあげてコスプレ写真会をやったら外国人にウケそう。まずは酒蔵と資料館とイタリアンの店が一緒になった施設へ。蛍光色イエローのファンキーなおっちゃんは中国人のファミリーを相手に堪能な英語で案内していました。聞くところによるとおっちゃんはカナダに40年在住していたそうです。すごい人がいます。
資料館で驚いたのは川の石を展示していたこと。これはなんですかと聞いてみると川の石が、まるすぎて展示していると答えてくれました。たしかにまるい。まるいものってほわっとするのでいいのかもしれない。あとは精巧なフィギュアが飾られていました。
そこから再び歩いて別の建物へ。街のちょっとした休憩所で新見の歴史についてのビデオを見せてもらいました。この休憩所でさえすっごい立派。津山もそうですが、岡山県北は戦争当時に空襲がなかったために歴史的な建物がより残っています。これは日本の財産です。日本の昔の建築は価値があります。技術力が高く仕事がていねい。少し手を入れればまだまだ使えるものが多い。読者のみなさんにも「古い=かっこいい」の価値観を持って欲しいです。ムダなものを作る必要はない。
ゲストハウスできんかこれ
昔、いくつかあった料亭と豪商だった家の跡を紹介して頂きました。料亭は観光名所になっていますが画像でみていただけるように、これはもったいない。ゲストハウスに改装すれば外国人をバンバン誘致できます。料亭の時に使っていた道具も残っていたし。使わずにどうするといったところ。
新見は高橋川が流れ、県南まで鉄や物資、人を送っていたそう。人の流れが頻繁にあったということです。岡山県出身の総理大臣、故橋本龍太郎氏の父親も足繁く通っていた。高橋川を埋め立てたり時代の流れから人の足が遠のきましたが元々は魅力がある街です。
もうひとつ新見が重要な街だった点。江戸時代には丸川松隠という学者を招いて赤字財政を建て直しました。松隠は学校を建てて朱子学を教えていたそうです。朱子学は西郷隆盛も重視していました。どちらかというとカウンター側の学問ですが、それを教えていたということは良い人材が育っていた可能性が高い。
ツアーには岡山、大阪など遠方から足を運ぶ方もいました。料亭ではようかんやコーヒーまで出してくれたし駅まで車で送ろうかと声をかけてくれたり。人情の厚さを感じました。可能性と人情がある街、新見。注目する人が注目したら爆発しそうです。