鳥取銀河鉄道祭の一環で、鳥取市内にて眼鏡店を営む松本龍郎さんを訪ねてきました。松本さんは独学で理想の天体望遠鏡を開発し、各メーカーからも注目されています。以前はNHKの教育テレビでも特集されました。15分にまとめられた映像が、ユーチューブにアップされています。
Nothing / All
松本さんは、ひとりの女性の目から、銀河系を超えるマクロ空間まで俯瞰し、人間の細胞までクローズアップする動画を見せてくださいました。前日、空海について書かれた本で、個は如来菩薩である全宇宙とつながっている、という記述にリンクして、ハッとさせられた。
自分と他人という相互関係をこえて、モノや空間とすべてはリンクしている。天体観測を繰り返す中で、松本さんはそう悟ったのでしょうか。望遠鏡を通し、「見る」ことを突き詰めていくと、仏教的な観念に辿り着いた。おもしろいことです。
みるということ
松本さんは実験を我々に見せてくれて、目と手は似ていると教えてくれました。手にも視覚があり、目で見ることは手で感じることにも似ている。私の解釈ですが、音楽を作る時も、目に映っているものが反映されると感じます。各センサーを通じて、こころに働きかける。「メディアはマッサージ」と主張したマーシャル•マクルーハンは、メディアはわたしたちの感覚を拡張したものと語っています。すなわち、このZineもあなたの五感に作用している。そう思うと、発信も意味があるものだと信じることができます。
同乗した香草工房の内藤さんに見ることのメカニズムを聞くと、人間は見るという時点で脳が余計な情報を省いているそうです。鏡を使った実験でも、ふだんみているものは逆。脳が慣れて、ふつう見えているそのものを見ているのではないのです。ですから、そのものを見る。見えないものを見ようとする。そこに秘密もある。松本さんに、そういったことを教えて頂きました。