小学生の昼休み、教室にあった水槽を前にこう思ったことがある。自分が生きている世界はだれかによる実験によって作られ、水槽の魚のようにだれかに観察されているのだと。なので不自由の自由を享受するしかない。最近はこの世界まるごとVR説が立証されているようで、ほんとにゲームと現実の区別がつかないんだこの人たちと思うが、思い返せば自分よそういう思考をしていたなあと思う。結局今日一日一日を生きて行くのしかないのだから、命に制限がつくということではない。
鎌倉にくると、どうも大きな物語の中にいる気がしてくる。それは神戸六甲のカフェ、六珈にいても同じように思うことだ。二つの箇所に共通することは、とても整理されていて気持ちよい場所だということ。人生もシンプルになれば劇的なのかもしれない。
鎌倉一日目の11:00。パンケーキの腹ごしらえを済ませて、海岸線をひたすら歩く。なぜか坂の下と呼ばれるあたりをうろついた気がする。鎌倉は海岸線からひとつ裏の筋に入るともう山になる。鎌倉の老舗カフェ・ディモンシュの本を読んでみるとこのような地形的条件はブラジルのリオに似ているらしい。神戸よりもさらに山と海が近い。神戸のギュュゥとなった街の凝縮感がないのは、基本は田舎だからだろう。でも、洗練度でいうと神戸よりすごいかも、、、と思っちゃうくらいステキなお店が多い。
僕は家を見るのが好きだ。歩きながら鎌倉の家々を見てまわる。神戸で言うと北野くらいデザインがステキな建築が多い。つまりお金持ちがたくさん住んでいるということだが、北野より延々と続いている。でもお金がかかった家だけではなくて、昔からありそうな家もステキだ。海岸線にはサーフショップやカフェ、パブが多い。見てみると西海岸ぽい雰囲気である。山育ちなのになぜ自分は西海岸好きなのだろう。西海岸の音楽も好きだし。カルフォルニアを彷彿とさせる鎌倉の海岸。シートひいて朝から焼いている外国人もいる。欧米か。ああ、きてよかったなあ、と思いながら稲村ケ崎まで歩いて行く。山越えしなきゃいけないとこもあって心細かったけど、こえたら江ノ島が見えた。ああ、あれが流川と桜木が最後の見た島か。とするとここらへんまで湘北のメンバーはランニングしてたかもしれないな。つかれたので稲村ケ崎公園で一休憩。気合いはいったチャリこぐ人も多いが、上半身裸のランナーも相当多い。欧米か。海岸にはカップルより一人でくる人が多い気がする。これはなんでだろう。海には一人になりたい人が多いのかもしれん。たしかに自分がデートで来たと思うと海岸線よりいい感じのカフェにはいるだろう。もしくは、物思いにふける人の魂を受け止める度量が海にあるとかやな。
途中しんどくなったので江の電に乗る。人生初江の電。ほんとに街中をはしっとる。こりゃステキじゃ。稲村ケ崎駅あたりは店が多くないが、中華屋があって気になった。鎌倉はどうも外食費がたかい。観光地価格ということだろうが、どこの店も1300円くらいはする。このどこにでもある中華屋のメニューをみるとニラレバ700円という久しぶりに見る価格設定を見て落ち着く。パンケーキの余韻がすごくて食べなかったけど。稲村ケ崎R不動産もあった。さすがR不動産だけあってステキな家だった。鎌倉に移住する際はここで物件を見つけよう。
鎌倉高校前駅まで行く。ここはおなじみスラムダンクの陵南高校のモデルで、アニメ版スラムダンクのopにも使われている。いわば聖地というやつで、中国人がやたら多かった。ちょっと海岸のほうまで出てみると、ここが一番きれいだったかも。信号のところでやたら雑誌の撮影みたいに写真とってる女子がいて、満喫してんなーと思う。
そのまま何かに引き寄せられるかのように江ノ島まで歩いて行く。今日はかなり暑かったな。江ノ島駅前のラーメン屋さんが気になった。江ノ島駅の下をくぐって江ノ島へ。カップルと家族が多かったなあ。中国人だろうけど、家族をみるとほっとする。江ノ島はだいぶ観光地で商業化された感じだった。京都みたいに坂になっててお土産屋さんだらけ。物価も高い。脇道にそれて変な道に入ったのが楽しかった。坂のぼりきったところの大きい宮が最後だと思って、めんどくなったのでバスで帰る。よくライブ会場でみるオッパーラという店が気になっていたがiPhoneの電池が切れたのでわからなかった。バスで山側を通りながら鎌倉駅へもどる。