日本はまたひとり、偉大な才能を失いました。ヒップホップの新世代、Fla$h BackSのFebbが不慮の事故でお亡くなりになられました。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
Febbをまったく知らない方は、彼らを見出したAmebreakの記事に詳しいのでそちらをご参照ください。
ざっと引用させて頂くと….
中学時代からトラック制作を始め、10代後半にDJやラップ活動も本格化させたFEBB。2013年にリリースされたFEBB/JJJ/KID FRESINOから成るFla$hBackS唯一のアルバム「FL$8KS」が高く評価され、一気に浮上。翌14年にリリースされた1stソロ・アルバム「THE SEASON」も、同年を代表するHIP HOPアルバムの一枚として各所で絶賛された。
Buddha BrandのDev Largeは彼のソロ作を「ここ10年で最高傑作」と評していました。まさしく、10年に1人の才能でした。
FLYWALLでトバされる
1st AlbumのFlas$h BackSがリリースされる前、『FLYWALL』というフリーのEPをリリースしました。その中のDoという曲ですでに彼らの才能に感服した覚えがあります。そこには10代でのファーストリリースに関わらず、とてもクオリティが伴っていました。jjjのSoundcloudにインストのみアップされています。この曲のfebbのラップはクールでした。とても。
https://soundcloud.com/jjjj-soma/do
Fla$h BackSが稀有だったのは3人が三人ともラッパーでありプロデューサーであり、DJだったということでしょう。つまり、ラップに優れているだけでなく、類い稀な自己プロデュース力。トラックメイクをしていると、サンプリングの元ネタにレコードを買い、70年代のソウルやジャズなど、豊かな音楽を聴くことができる。jjjやKid Fresinoは部屋で遊びながら、甘いソウルを聴いていたそうです。おそらく火をつけながら。オ、オトナだ….。
そういった時間を共有することで感性を磨いていったのでしょう。インタビュー番組で、彼の当時の制作部屋が撮影されていました。純粋にレコードが好きで、音楽を愛し、パッドを叩きながら制作に向き合っていたんだ。溢れる才能に恵まれても、彼はもう音楽を作ることも聴くこともできないのか。
突進したラップ
jjjはFebbのラップを「ツッパリ」と表現していました。日本人と黒人のラップの違い、それは軸にあると思います。つまりフィジカルの違い。バスケやサッカーと同じです。リズムに対してどうグルーヴするかにおいて、やはり身体能力が必要なのです。Febbはいわば体幹が優れていたというか…。サッカーで言うと、前線でタメを作れる本田圭佑選手みたいなものです。この印象が違っていたらすいません。
ただ、彼のラップは休養を境にクオリティが一時期落ちていました。様々な原因があるのでしょう。BESが出所後にウェイトが増加してラップしづらそうなのと似ています。ですので、1st Soloが彼の一つの到達点だったように思います。もちろん、Young MAS(Nippsに与えられた名前だそうですね….!)名義でGradis NiceとリリースLOCもいいです。ただ、このアルバムは現状に苛立ちを感じられ、ピュアな感性を損なっていたような印象です。
個人的には、この曲がベストヴァースです。このヴァースはズバ抜けている。
ソロ二作目からは外国人のトラックメイカーとディールをしたり、AZのヴァースを買ったり、ヒップホップをビジネスにする考えも本場でした。彼の活動が継続していればUSと日本をつなぐ架け橋になっていはず。とても残念ながらです。
Tokona-Xの時のように、日本のヒップホップにとって大きな損失です。ともかく、彼の意志はjjjはKid Fresinoが受け継ぐでしょう。DILLAのように遺作がリリースされ、永遠にヒップホップに影響を与えてくれることを願います。FEBBは、ヒップホップの歴史においてとても重要な存在でした。今までも、これからも。
ファンとしてできることは追悼の意も込め、彼の作品を忘れず、聴き続けること。個人的には、ビートアルバムがオススメです。
それからのfebb (2019年3.5追記)
Febbが亡くなられてから一年が経ちました。遺作がすこしずつ発表されましたので、把握している限りで、ここに記録していきます。
Kojoeとの客演曲
https://youtu.be/TV5gSxFnXIY
この一年で発表された曲の中では、なんと言ってもこの曲ですかね。Kojoeのアルバムの客演曲で、KandytownのMudも参加。プロデューサーとして最前線に立ったillmoreがリミックス。illmoreとFebbの相性の良さは感じ取れるだけに、これからも残っている録音のリミックスは期待できます。
Sacのリミックスアルバム
FebbのセカンドアルバムがSCARSのSacによってリミックスされました。トラップが多い元アルバムに比べ、Sacの解釈は90年代解釈なもの。こちらのほうが聴きやすい人も多いでしょう。別記事でも書きましたが、日本語とトラップの噛み合わせは悪い。Jin doggなどをのぞき、まだなじんでない。ただ、現在進行形の音楽として、ヒップホップの最新を取り入れることにはリスペクトです。90年代のニューヨークだけがヒップホップだけではないですから。
https://itunes.apple.com/jp/album/so-sophisticated-ver2-0/1436001177
ドキャメンタリーがアップ
スペースシャワーに、Febbの実母のインタビューがアップされていました。現在は公開されていないようです。
その中に、子供の頃はよく石をひろってくる子だったと証言がありました。石を拾う人はだいたい成功しています。
最後に、jjjのインスタグラムにアップされた、愛のある動画を。最後の動画撮ってたんかい!とぎょっとした顔がいいです。