Dommune 2018.2/13 DJ Hikaru 越境について

DJ HIKARUが好きだ。なぜ気になるのか考えると、ジャンルを越境する人が好きだからである。父親がJAZZコレクターなのだか、実家のレコード棚にはハードロックのレコードも歌謡曲もある。CURTURE CLUBのレコードもあった。

中学生から音楽にハマった。Dragon Ashから日本語ラップへ。激しい音楽がニガテで、メロウな音楽が好きだった。悲しさや寂しさのある音楽。大人になって出来た友達は、本人が意識してるかしてないかに関わらず、その感情を拭えない人たちだった。大体が両親との関係になんらかの問題を抱ていて、それは対人関係にボディブローのように影響を及ぼし、生き方となってしまう。どこか疎外感を感じたまま社会の片隅にいる。そしてみんな音楽が好きだった。疎外感と音楽はつながてっているのか。寂しさを紛らわすために音楽はあるのかもしれない。あるいはつなぐものかも。

remix誌の影響

高校生の時、Kick The Can Crewが表紙だったremixという雑誌を買う。これが僕の音楽的指標を決めてしまったように思う。Blastを買っていたら、もしかしてもっと音楽を楽しめていなかったかもしれない。ヒップホップだけでなく、テクノ、ハウス、クラブジャズ、レゲエ、ロックと濃い編集者の趣味がクロスオーバーしたギトギトのカレーのような誌面だった。読んでもなんの話かさっぱりわからなかった。今はeke-kingを編集すると野田努、加藤直広とロマンス西崎というイカれた若手、クラブジャズの春日正信。この人はアーティストくずれで、一番知識がすごかったように思う。あとキャラがすごい。ヒップホップ担当の木下充の物言いは好きになれなかった。専属ではないが磯部涼も書いていた。コラム欄が隣だった野田努とURをめぐってビーフが起こっていた。アンダーグラウンドヒップホップのレビューを書いていた北川達也もよかった。この人はアンダーグラウンドヒップホップ本を出す予定だったらしいが、結局出ずじまいだった。発行人の小泉雅史は70年代くらいのラヴァーズレゲエやボサノヴァ、ジャズを紹介しており、とても趣味のいい人。今は音楽業界から身を引いて介護の仕事をしているとか。阿木譲が潔いとツイートしかしていた。阿木譲はnu jazzのコラムを持っていて、毎回こんな音楽実はしょうもねえよという体で書いていた。すんげーひねくれた大人だとおもっていた。ちょっとかっこよかったけど。野田努とビーフを起して後に女をストーキングして逮捕されていた。その時に野田努はジャーナリズムよりエディトリアルを優先すんねん、俺は編集長でなく工場長だと弁明していた。タクティカスオウガで言うとクリザローで同胞を虐殺する選択肢を取るロウな発言は、大人って大変だなと思わせるのに充分だった。

左寄りだが、政治的思想もあったし、レジスタンス的なところがあった。当時は理解できないがそこはとなくレビューに音楽の「実用性」について書かれていて、それは明らかに賛美されていた。デザインもよかった。A5くらいのサイズで、表紙の左上に白の枠にremixと書いていた時期のデザインが好き。

古いremix誌にジャンル用語集の特集があって、わからんなりにドラムンベースとかCDを買う。気に入ったのはクラブジャズで、わけがわからんかったからnu jazzと書かれた青色のコンピレーションを買ったりした。

実家のものは大概処分したが、2013年の10月号はいまだに残っている。モノとしてすごくいいのだ。ボロボロになっちゃったけども。イギリスのデザインチームairsideがLemon Jellyの表紙を手がけていて、特集は夏の終わりのチルアウト特集。男の顔にキャンディが散りばめられたポップなこの本はいまだに自分の中に残っている。こんなモノづくりがしたいなあ。当ウェブマガジンも目指していきます。それ、いいね。

チルアウト

DJ HIKARUの昨日のドミューンでのDJは、ジャンルのチャレンジングな越境がおもしろいDJだった。メインストリームのメロウなヒップホップからはじまり、4つ打ちにいったかと思うと、「俺は酒飲んでめちゃくちゃだ」というロックの曲から、似たようなメッセージの日本語ラップの曲がかかり、最後ほ輪入道が江ノ島の思い出を綴った曲をかけ、沖縄のラッパーRITTOにバトンタッチしていた。バレリアック感はなかったが、とにかく面白かった。

HIKARUのミックス作品で、Sunset Milestoneというのが好きである。赤い海辺がジャケのMix CD。間違って友達にあげてしまったので記憶が曖昧だが、とにかく数曲が一つの流れになっていて、とても気持ちよかった。自分の音楽的素養ではとても推し量ることのできない分母。ホントこの人は音楽が好きなんだなと伝わる。が、そんな理屈はどうでもよく気持ちよく爽快で、ロマンチックだった。

自分の中でミックス作品では、このMix CDと、Amidaの兄Mirokuがアップしていたデータのみのミックス、大阪noonでみた名も知らぬDJのプレイ。どちらともヒップホップのビート感覚を軸に、ポジティブがこれでもかと押し寄せる。どちらも何がかけていたが思い出せないが、それを再現しようと音楽をディグし続けるのもいいかもしんない。音楽は楽しい。remix誌も、DJにも感謝。